徳島県美波町へ「樵木備長炭」の製造現場へ見学に行ってきました
2025/02/12
先日、徳島県美波町にある 株式会社四国の右下木の会社 さんを訪問し、「樵木備長炭(こりきびんちょうたん)」の製造現場を見学させていただきました。
当店で使用している土佐備長炭の製炭を手掛ける 椎名さん が、この樵木備長炭の製炭責任者を務められていることもあり、今回の見学は私たちにとってとても貴重な機会でした。
以下、私たちが学んだ内容をまとめてみました。
里山を守るために生まれた「樵木備長炭」
「樵木備長炭」は、ただの炭ではありません。
この炭が生まれた背景には、「日本の里山を守りたい」という強い想いと、「備長炭が不足している」という現実的な課題が深く結びついています。
かつて日本では、薪や木炭などの 木質燃料 を生活の中で活用していました。
人々は森林と共存し、伐採と育成を繰り返すことで、山を守りながらその恵みを受け取っていたのです。
しかし、1950年代に 化石燃料(ガスや石油など)が普及し、木質燃料の需要が激減。
その結果、これまで人の手が入っていた里山が放置されるようになりました。
この放置がもたらした影響は、決して小さなものではありません。
放置された里山に起こった変化
1. ナラ枯れの被害が拡大
ナラ枯れとは、小さな虫が木に穴を開け、そこからナラ菌という菌が入り込むことで木が枯れてしまう現象です。
人が適度に手を加えていた頃は被害が広がりにくかったのですが、放置されたことで一気に拡大しました。
2. 森林のバランスが崩れた
伐採されなくなったことで、成長の早い針葉樹(スギやヒノキなど)がどんどん増え、かつて豊かに広がっていた 照葉樹(カシ・シイ・ナラなど)が光合成できなくなってしまいました。
照葉樹は、良質な薪や炭の原料になる大切な木々です。
その生育が妨げられることで、炭の生産にも影響が出ています。
このような状況を改善し 日本の里山を守るために生まれたのが、「樵木備長炭」なのです。
木が再生する「樵木林業」という技法
「樵木備長炭」の製造には、樵木林業(こりきりんぎょう) という特別な技法が使われています。
樵木林業とは?
木を地面に近い位置で伐採し、その切り株から新しい芽が生えるようにする方法。
こうすることで、山の木々が持続的に循環し、森林のバランスを保つことができます。
しかし、この方法には大変な労力がかかります。
• 山に重機が入れる道を作る
• 急斜面で腰を屈めながら1本ずつ手作業で伐採
• そこから炭が完成するまでに約3週間
想像するだけでも、その大変さが伝わってきます。
それでもなお、こうした取り組みを続けてくださる方々がいるからこそ、私たちは 安心して美味しい焼鳥を焼くことができるのです。
自然と炭への感謝を胸に
備長炭が不足している今、新たに製炭に取り組んでくださる方がいることは、私たち焼鳥を焼く側にとって本当にありがたいことです。
今後も、自然の恵みに感謝し、炭を作ってくださる方々の努力を無駄にしないよう、最高の焼鳥をお客様に提供していきます。
また、今回いただいた冊子を拝読し、吉田社長の人生にも深く心を動かされました。
このような素晴らしい取り組みに触れられたことに、心から感謝しています。
この度は、本当にありがとうございました。